ポストモダンなブログ

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YIIK: ポストモダンRPG サミー考察

 

前回の記事の続きである

 

 

サミーの描写

 

サミーは本来、KNNに就職が決まっていて働き始める予定だった。

だが、失踪したのである。

アレックスの会ったサミーは、一人暮らしをして働くとは思えない、世間知らずというか浮世離れした雰囲気であった。

それについて作中では明確な回答がなされることはなかった

 

 

 

一連の描写は私としても整合性がとれないように感じていて腑に落ちなかったのだが、色々と考えていると正解はこれではないかという仮説を思い付いたのでここに記したい。

 

 

 

 

 

 

 

サミーの症状は乖離性遁走だった? 

 

YIIK世界には「強いストレスを受けたものはソウルスペースに移行する」というルールがあり、それによってサミーも転移したわけだが、サミーの精神的な症状(及びソウルスペース移行条件)は現実世界でいう「乖離性遁走」に近いのではないかと思った。

 

乖離性遁走とは? 

 

強いストレス環境を受けた人が、自身の所属していたコミュニティに関する記憶を失い、その環境から離れる精神的な症状(記憶障害)のことである。

 

※詳細はwebサイト(MSDマニュアル等)で各自検索されたし

 

 

 

 

どうだろうか?

 

これはサミーの症状と合致するように思える

 

サミーは家庭環境で問題を抱えていた。アレックスのマインドダンジョンでもそれを示唆する描写があった

 

描写はされていないが、ショーンドラやクラウディオの話から察するに、アジア人ということで頼りになる相談相手というのも少なかっただろう

 

そういった環境下においてストレスを一人で抱え込んでいたのは想像に難くない。

ある時、ストレスに耐えかねて母親や、会社のことを記憶から排除し生活圏から逃避したということは十分に考えられる。

工場内でのアレックスとの会話での、「元々工場に住んでいる」、「エレベーターを知らない」などあまりにも現代的感覚からずれた発言も、元の記憶を無くしてしまったと考えれば納得がいく(乖離性遁走において本人は元の記憶がないということ自体思い出せないそうだ)

 

アレックスがサミーについてホームレスには思えない(体臭や服の汚れなど)と指摘したのも失踪してから日が浅いと考えれば問題なく説明できる(マイケルの話から失踪したのは最近ということである)

 

 

 

 

結論としては

 

家庭環境等のストレスを抱えていた(ソウルスペース移行条件を満たす)

 

 

乖離性遁走の症状が発生し、記憶がなくなり、廃工場に行く

 

魂の三分の二が移行完了

 

 

アレックスと遭遇し、移行プロセス妨害される(この世界への未練ができる)

 

 

自身のエンティティによりソウルスペースに強制移行

 

という流れだと思われる。

 

 

 

アレックスを騙すために嘘をついていたエッセンシアだが、ここだけは本当のことをいっていたのだろう

 

 

サミーの元ネタ

 

サミー関連は、元ネタと思われる事件がある。

実在の事件なので詳しいことは控えるが、事件の詳細、顛末、反応など、かなりの部分を参考にしたことがわかる。

 

アレックス達のようにオカルトネタが好きな人なら知っていると思うが、非常に不可思議な事件である。

 

※Onismにサミーと思われる人物からの書き込みがあった件も「元ネタ」にある

 

 

 

あとがき 

 

サミーというキャラクターについて、最初は整合性が無いように感じて、YIIKを象徴するよくわからない存在だと思っていた。

 

しかし、自分なりに考察してみると、納得できるような解釈の仕方を見つけたり、制作側のメッセージがわかるような気がして非常に興味深かった。

 

 

余談

ストーリーのサイドクエストで入手できるアイテムである「サミーの口述テープ」

 

だが、公式動画(以前記事にしたエアリスが写っていたのと同じ動画)に興味深いものがあった。

 

その動画は、テープを再生する時のような音(ガチャッというような音)が入っている

その後にサミーが以下のことを語り出す

 

1999年4月4日に失踪したこと、そしてエレベーターの動画が拡散されていること

 

 

 

この動画だが、エッセンシア操作シーンだったり、エアリスの件だったりと本編に収録されていないシーンが写されているので、断言はできないが、もしかしたら、本編では再生できないサミーの口述テープを再生する手段が開発段階ではあったのかもしれない