ポストモダンなブログ

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ネタバレ注意! YIIK: ポストモダンRPG第一エンド感想

 

 

ポストモダン第一エンディング

 

 

タイトルの通りである。

個人的に一番印象に残るイベントだったのでそれの解説と感想を書いていきたい。

 

 

 

1999年12月31日

 

一階へ降りると電話がなっている。

受話器を取るとサミーやマイケル達から支離滅裂な言葉を一方的に聞かされる。

アレックスは電話の後ベッドに行くが、それが夢だったのかは判然としない。

その後目を覚ますとパンダと会話をする

大学卒業後、帰宅してからの違和感、マイケルの過去、全ての違和感について…

そして、アレックスは仲間達とニューヨークに行く約束をしていたことを思い出し、家を出ようとする。

 

一階に降りると消えたはずの父親がいる。

驚くアレックスだが父親は様子がおかしく会話が噛み合わない。

 

家からでてすぐに異変に気づく

世界が壊れているのだ

まるで子供の落書きのように変わってしまっている

それだけではない、仲間達もかつての仲間ではなくなってしまった。

一見すると面白おかしく見えるかもしれない

しかし何十時間も一緒に闘ってきた仲間たちがこうなっているのだ。

更に記憶も失くし、現状に疑問も抱いていない。

これから起こることも忘れ、お祭り騒ぎをしている。

アレックスだけが一人取り残されてしまっている

その絶望感と虚無感は筆舌に尽くしがたい。

 

タイムズスクエア

 

移動開始、「Little Eyes」が流れ始める。

エッセンシアによる解説、アレックスの述懐

世界は壊れてしまった

しかし明るい曲調の「Little Eyes」はアレックスやプレイヤーの気持ちとは裏腹に楽しげだ。

それが孤独感や疎外感を際立たせる。

そこにいる人々は全て赤黄青のシルエットのようで、ある種幻想的な光景だ。

村上春樹リスペクトとして取り上げられることの多い本作だが、筆者は高野秀行のノンフィクション小説「怪魚ウモッカ格闘記」の一節を思い出した。

 

 

”視界に入ってくるものは見えている。
鼓膜にも音声が届いている。
だが、それらはみんな単なる電気信号のようで、私の脳に何の感情も引き起こさない”

 

高野秀行「怪魚ウモッカ格闘記」より引用

 

 

これは世界の崩壊が迫っているために人々がおぼろげな姿になってしまったという解釈もできるだろう。

 

筆者としては、世界で自分だけが破滅を知っているがそれを止める術も仲間さえもなくなってしまったという無力感や絶望感、そういったものがアレックスから見る世界を電気信号のようなシルエットに変えてしまっているという解釈もできると思ったのだ。

 

 

今まで様々なゲームをしてきたがここまで無力感や絶望感を与えてくる演出は始めてだった。

他のゲームではどんな敵にも立ち向かってこれた

何度負けても必ず勝てると信じてこれた

しかしYIIKは違う。

敵の姿すら見えていないのに完全に私の心を折ったのだ。

プレイヤーをずっと導いてくれたヒントでさえこうなっている。

 

 

世界終末戦闘

 

タイムズスクエアにたどり着いたアレックス達は世界滅亡の正体、プロトコメットと対峙する。

ボス戦直前に仲間たちは記憶を取り戻し、アレックスも仲間を鼓舞する

だがモノローグでは完全に絶望しきっている。

 

プロトコメット戦は負けイベである

どれだけレベルを上げてこようが、何コンボ出そうが倒すことはできない。

そしてあまりにも残酷な演出により仲間たちが一人また一人と消されていく。

そして残るはアレックスとエッセンシアのみ

敵がアレックスを狙うが、エッセンシアが身を呈してかばう

 

しかし無情にもアレックスは敗北してしまう

アレックスは世界も仲間も全てを失った

 

 

※プロトコメット戦で流れる「Puzzle Peace」は私の人生で最高の曲であると断言できる。

勝てない敵に立ち向かう悲壮感や絶望が表現され完璧にシーンにマッチしている。

是非聴いてもらいたい

 

 

 

あとがき

大した数ではないかもしれないが、それなりの数のゲームをやってきた。

どのゲームもラスボス前では、仲間との絆や守るべき世界のことなど、主人公のモチベーションを高めるシーンが挿入され、プレイヤーのテンションも高まってきた。

どんなラスボス戦でも、特有の高揚感があり、それが世界を救うという使命感に繋がったはずだ。

どれだけ強大な敵が相手であっても、信頼する仲間が側にいてくれたはずだ。

しかし、YIIKでは仲間を失い、主人公のアレックスすら、負けを覚悟してしまっている。

ラスボス戦でこんな気持ちになったゲームは初めてだ。

ゲームの目的が、プレイヤーの感情に何かを訴えるためにあるのだとしたらYIIKはそれを完全に果たしている。

間違いなく心に響き、衝撃を与えたのだから。

 

 

 

 

今回はソウルスペース移行前までを書いた

次回はエンディングまでを書いていく。